
先日「London and South East University Group」というロンドンとイングランド南東部にある2つの大学の統合計画が発表されました。
その大学とは、ロンドン南東部にあるUniversity of Greenwichとイングランド南東部にあるUniversity of Kentの2つです。
この2つの大学は以前よりUniversities at Medwayという一つのキャンパスを複数の大学で共用する取り組みを行なっていたため、今後の大学・高等教育機関の生き残りをかけて今回の統合計画合意に至ったかと思われます。
ちなみに「Super university」とも表現されるこの統合計画はまだ確定ではなく、将来的には他の大学も参入するだろうと見られています。
Universities at MedwayはCanterbury Christ Church Universityも使用しているため、新しい大学ですが今後グループに加わる可能性もあるのでしょうか。
また、他の地域でも同様の動きが起きてもおかしくないと予想されます。
大学の設立年(元となる教育機関の設立年ではなく、大学になった年)ではUniversity of Greenwichが1992年、University of Kentが1965年と後者の方が歴史はありますが、University of Kentはいかんせん経営難が続いており、報道ではUniversity of GreenwichがUniversity of Kentを乗っ取るという表現も見られました。
2026年春に統合する予定ですが、一つの大学グループが2つの独立した大学を運営することになり、Vice-chancellor(副学長)はUniversity of Greenwichの現Vice-chancellorであるJane Harringtonとなります。
背景は分かりませんが、University of Kentは昨年から正式な副学長を置いていなかったので、その当時から統合話があったのか、それとも他の事情があったのか、どちらにしても双方の大学にメリットのある話だと思います。
どちらも特筆すべき大学ではないのですが、決して悪い大学ではありませんので、やはりロンドンという立地が学生の集客に影響しているのでしょうか。
ロンドンでも南東部、テムズ川の南側なので教育が栄えている地域ではありません。これは伝統的に仕方のないことです。
ただし、両大学を選ぶ層はそのようなことは気にしていないはずです。
ロンドン大学の改革も進んでいるため、ロンドン大学連合に今後加盟できそうにない、かといって単体では経営が難しい大学の2つが母体を一つにすることで経営の安定化を期待するのでしょう。
University of Greenwichは旧ポリテクニックから大学に昇格した新大学のため、伝統的にロンドン大学のカレッジとしては相応しくなく、University of Kentはロンドン市外のためロンドン大学の括りとしては成り立たないでしょう。
2つの大学は距離が近く、過去20年以上に渡って共用キャンパスを運営していることもあり、今回の統合の動きは驚きもありましたが、一方で当然の流れだろうとも思いました。
今、英国の大学は日本と同様に学生の確保と経営の安定化、長期的な経営問題の解決に必死になっています。
大学の経営難は今後深刻になることが予測されています。大学の倒産も今後あり得るでしょう。
大学進学が当然の選択肢の一つだった一昔前と比べると、多くの大学進学者が卒業時に多額の借金を抱える制度に疑問を抱き、いわゆる高卒で就職という選択を積極的に選ぶ層が非常に増えています。
大学に行く代わりに、働きながら勉強を続け、給与を貰いながら企業に教育費を負担してもらい、数年かけて学士号を取得するApprenticeship制度がここ数年で人気を集めています。
はじめの数年間は低い給与ですが、数年かけて大卒に近い、同等、それ以上の給与を得られるようになり、また大学の費用を自己負担することなく学位を取得できます。
企業からしても、長く働いてくれそうな優秀な人材を早く囲い込めるので、大学に行く選択肢がない層を雇用できるという社会貢献の側面もある制度のため双方にメリットがあります。
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