英国の大学の選び方

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– View of the City of London from Tate Modern, Level 3

 

First Termが終了し、久しぶりに余裕ある日々を送っています。

 

以前、英国の大学学部への出願はUCAS (the Universities and Colleges Admissions Service)という独立した機関を介して行うということを記事にしました。

5つまでのコースを選べますが、今回はどのように出願先を選ぶかについてまとめます。

2014-15年の実体験を元に書いていますので、向こう数年は出願方法等が大幅に状況が変わらない限り参考になるかと思います。

前回の記事も合わせて読むと英国の大学学部出願事情がつかめるかと思います。

英国大学学部への出願の流れ (https://sonthe.com/post/1953)

なお、英国といいながらも基本的にイングランドの大学のことを書きますが、ウェールズ、北アイルランドも同様です。また、スコットランドは学部が4年制なだけで基本的には同じです。

一部の(歴史のある)スコットランドの大学の特定のコースは、卒業時に学士号としてのMaster of Arts (MA)を称号されます。

これは、他の英国の大学のMAとは違いますし、OxbridgeのMAもまた別の制度です。

今回の記事には書きませんが、興味のある方は調べてみると面白いです。

 

一般的に日本で広く名の知られている英国の大学といえば、University of OxfordとUniversity of Cambridgeの2大学でしょう。

英国の大学に興味がなくとも聞いたことのある大学名ではないでしょうか。

この2大学は合わせてOxbridgeとも呼ばれます。Oxfordが1096-1167年、Cambridgeが1209年に設立されたということでOxfordが先なのかと思います。あまりCamfordとは呼びません。

The IndependentにOxbridge/Camford名称問題に関する記事があります。

Good Questions: How Oxbridge beat Camford

http://www.independent.co.uk/arts-entertainment/good-questions-how-oxbridge-beat-camford-1369275.html

 

Oxbridgeの他にも、もちろん英国には他にも多くの大学があります。150校を超えるそれらのほとんどが政府から財政援助を受けている、”Public universities”です。

それらが日本でいう国公立大学と同類かは疑問ですが、留学生は英国の大学を受験をする上であまり大学の設立区分を考慮する必要はないと思います。

というのも、留学生は大学設立の区分に問わず、基本的に留学生向けに設定された学費を支払う必要があるからです。

例外としてコースが始まる時点で英国に制限なく定住できるビザ(例えば、永住権のIndefinite Leave to Remain、若しくは婚姻ビザ等)を持ち、3年以上継続して住んでいる場合には、UK/EU出身の学生(Home students/ホーム生)の学費が適用される場合もあるようです。

ホーム生の学費適用条件は、UK Council for International Student Affairs (UKCISA)に掲載されています。

参考: http://www.ukcisa.org.uk/International-Students/Fees–finance/Home-or-Overseas-fees/

 

(以下、£1=¥180のレートで計算、換算値は全て概算)

 

一般的に学費は、ホーム生の年間£9,000 (162万円)に対し、留学生は大学・コースによりますが、座学中心の人文学系で年間£15,000 (270万円)前後を納める必要があります。

3年間の学費が、ホーム生は£27,000 (486万円)に対し、留学生は人文学系で£45,000 (810万円)以上です。

以上というのは、学費は毎年上昇することがほとんどで、レートとの兼ね合いで先が読めない部分もあるためです。

 

理系学部や芸術、医師薬獣は日本の私立大学と同様、高い学費が設定されています。

把握している中での最高額は、Imperial CollegeのMedicine (MBBS/BSc) (医学部)の学費です。

MBBS: Bachelor of Medicine, Bachelor of Surgery

BSc: Bachelor of Science

4年目に医学に関連するBScを修めるための期間が1年間あるため、最終的に学位が3つ並んでいます。

年額£37,100ですので、6年間で、£222,600 (4,007万円)以上です。

ちなみに、英国の医学部受験は非常に複雑なため、学費だけが問題になるわけではありません。

留学生の身分では、卒業後の研修期間中のビザ問題もあります。

 

ホーム生はStudent Loan (学生ローン)を利用できますので、在学中は学費を払う必要がありません。加えて生活費も借りられますし、家庭の経済状況によっては生活助成金も受けられます。それらを卒業後の4月以降、年収の一定額(£21,000)を超えた分の9%を毎月、向こう30年に渡って支払い、残額は返済不要という制度で、日本の奨学金(学資ローン)とは大きく違います。

北アイルランドの大学は、自国生とその他の英国(イングランド・ウェールズ・スコットランド)からの学生で学費が違います。また、アイルランド共和国とUK以外のEUは自国生と同額の学費で、その他英国生はより高い学費を払います。

スコットランドの大学は、北アイルランドの大学と似ていて、スコットランドとUK以外のEUの学生は、政府支援のStudent Awards Agency Scotland (SAAS)により無料です。イングランド・ウェールズ・北アイルランドは、”the Rest of the UK”と呼ばれ、別設定の学費です。

 

学費の話が長くなってしまいましたが、次の話題へ。

 

英国の大学は基本的に一部政府からの援助を受けて独立した運営方式を取っていますが、そうではない、いわゆる私立大学、”Private universities”は以下の5大学です。

  • BPP University
  • The University of Buckingham
  • Regent’s University London
  • The University of Law
  • Arden University

上記に加え、以下の2校も学位を称号できる私立大学と捉えられます。

  • Ashridge Business School
  • ifs University College

また、独自に学位を称号する権利はないものの、他の英国の大学から学位を称号される教育機関が2校あります。

  • New College of the Humanities (awarding University of London degrees)
  • Richmond, the American International University in London (awarding Open University degrees)

イングランドとウェールズでは、継続・高等教育に関する法律、Further and Higher Education Act 1992, p 2, s 77 (1, 4)により、大学は、”University”もしくは、”University College”と名乗ることが定められています。

そうすると上記の9校の内、Ashbridge Business SchoolとNew College of the Humanitiesは法律上大学ではありません。

Ashbridge Business Schoolはアメリカ、マサチューセッツ州のHult International Business Schoolの傘下にありますので、英国の大学という扱いになるのか疑問です。

New College of the Humanitiesの卒業生は、University of London (ロンドン大学)の学位を称号されます。

他にも、London School of Business and Financeという独自の学位称号権のないビジネススクールもあります。

このビジネススクールは、University of Londonのカレッジの一つであるLondon Business Schoolとは全く関係がありません。

この他にも、有名校と名前の似ている(紛らわしい)ものがあります。

New College of the Humanitiesも設立時に、University of OxfordのNew Collegeと混乱するとのことで名称変更の意見もあったようです。

 

英国の教育制度は非常に複雑で、英国出身の学生にも複数の進路があり、日本の教育制度と単純に比較対象ができないため、日本語のサイトでは誤った、もしくは古い情報が書かれていることが多いです。

未だに、「英国の私立大学はUniversity of Buckinghamの1校のみ」という情報がありますが、上記の通り現在は複数の私立大学が英国にはあります。

英語版のWikipediaにも古い情報が残っていますので、信頼できる情報を得ることが大切です。

 

正しい情報を得ようとしているのに、日本語のサイトばかりを見ていては最新の情報は得られません。

すでに情報が古いか、誤訳、若しくは(このサイトも含め)第3者・筆者の見解が大きく影響して元の情報と違う可能性もあります。

どういう情報源が信頼できるか見極めるのは難しいですが、公式の情報を確認することが大切です。

簡単に言えば、日本語のサイトの情報はあまり鵜呑みにしないほうがいいでしょう。

例えば英国の大学に関しては、以下の英国政府のサイトが確実に信頼できる情報です:

Check if a university or college is officially recognised

https://www.gov.uk/check-a-university-is-officially-recognised/overview

上記内容は、英国の大学を受験する方には大切な情報かと思います。そうでない方も知識として知っておいて損はないかと思います。

 

「留学」という枠で考えるのであれば、学位を得て祖国(多くの日本人にとっては日本)に帰国し就職ということを考慮すると大学の知名度が重要なのかと思います。

しかし、歴史のある大学、知名度の高い大学が全ての面において優れているとは言い切れないのも事実です。

1992年にPolytechnicsやCollegesからUniversitiesに昇格した、いわゆるNew Universitiesの中にも、評価の高いコースがあります。

 

何を学ぶかと同時に、どこで学ぶかということも非常に大切な点です。

こちらでは、CVに詳しく何を学んだかとその成績を記載することもできます。

英国の大学の成績は、Degree classification systemの元、以下のように格付けされます。

First class honours (1st)

Upper second class honours (2:1)

Lower second class honours (2:2)

Third class honours (3rd)

 

基本的に英国(少なくともイングランド)の大学学部では、Honours degree取得を目指すため、学位を取得した暁には、専門分野に応じて例として以下のような称号が与えられます。

BA (Hons) — Bachelor of Arts with Honours

BSc (Hons) — Bachelor of Science with Honours

BEng (Hons) — Bachelor of Engeneering with Honours

LLB (Hons) — Bachelor of Law with Honours (Latin: Legum Baccalaureus)

BFA (Hons) — Bachelor of Fine Art with Honours

 

また、何を学んだかというには、”in …”を使います。

例えば、BSc (Hons) in Mathematicsや、履歴書等には、BA Archaeologyと書きます。

 

大学院に進学するためには、一般的にUpper second class (2:1)以上の成績を求められます。

Honours degreeの要求に満たないと、大学によってはOrdinary degree (Pass)が与えられることがあります。

その場合、称号に(Hons)はつきません。

日本の多くの大学でも導入されているGPA (Grade Point Average)とは評価方式が違うため、比較が難しいのも確かです。

日本の文系理系は単純に英国のBA/BScに当てはまりません。

同じ学問でも、大学やコースによってBAもしくはBScになりえます。

 

何を以って「いい」大学とするかは難しいですし、意味のないことなのかもしれませんが、大学ランキングは一つの指標として役に立つことが多いです。

様々の大学ランキングがありますが、大学を1つの単体として見るのは無理があります。

例えば、LSE (The London School of Economics and Political Science)は社会科学系の学問に特化した大学ですので、理系(特に医学系)の学部を重要視する大学ランキングでは評価が低くなってしまいます。

同じことは地域研究に特化した、SOAS, University of London (The School of Oriental and African Studies)にも当てはまります。

その点においては、個人的にThe Complete University Guideのランキングは研究分野ごとの指標として非常に参考になると思います。

http://www.thecompleteuniversityguide.co.uk/league-tables/rankings

主要な英国の大学ランキングは以下のサイトで確認できます:

The Guardian University league tables 2016

http://www.theguardian.com/education/ng-interactive/2015/may/25/university-league-tables-2016

Times Higher Education World University Rankings 2015-2016

https://www.timeshighereducation.com/world-university-rankings/2016/world-ranking#!/page/0/length/25

QS World University Rankings 2015/16

http://www.topuniversities.com/university-rankings/world-university-rankings/2015#sorting=rank+region=140+country=208+faculty=+stars=false+search=

 

Sonthéは英国の大学に出願する際に、学部の研究分野、大学の図書館の質、立地(ロンドン市内)を重視しました。

また、New Universitiesは希望する学部の性質を考慮し選びませんでした。

こういった意見もあるようです。

http://www.telegraph.co.uk/education/universityeducation/10911839/Close-half-of-Britains-universities-leading-academic-says.html

 

出願するコース(学びたい学問)は決まっていたため、それに該当するロンドン市内の大学から選ぶとあまり選択肢はありませんでした。

ロンドン市内は娯楽が多く、生活費が総じて高いと思われるかもしれませんが、Sonthéは事情があっての選択です。

持病の関係で、加入している医療保険の対象になる私立日系病院の多いロンドンを語学留学時に選び、ファウンデーションコース開始前にある程度下見をして、生活を落ち着かせることを選びました。

また、もしもの時のためにも日英間の直航便があるヒースロー空港へすぐに行けるようにロンドンを選びました。

今となっては、NHSを含めた現地クリニック・病院を通訳なしで全く不自由なく利用できるまで英語力が上がり、英国の文化と制度・法に慣れましたが、新しい環境に順応するまで色々と不安も多かったです。

語学力だけの話ではなく、英国の医療制度は非常に複雑で、医療保険に加入していても私立医療機関に関する費用が必ず保証されるわけではないので、保険会社との交渉も煩雑です。

これは特殊例かもしれませんが、個人の優先すべき事情に合わせたという一例です。

 

幸い、ロンドン市内には希望する学問の研究が進んでいて、評価の高い大学があるため、UCASの4つのコース選択はある程度容易でした。

5つ目がなかなか決まらず、言い方が悪いのは承知で、穴埋めで関連するコースを選びました。

Oxbridgeを除き、大学の選択制限はないため、一大学から5つの異なるコースを選ぶという学生もいます。

Oxbridgeは一方にしか出願できず、出願締め切りも医歯獣と同様に10月15日です。

一般の出願締め切りは、翌年の1月15日です。

 

そもそもロンドン市内に限定すると、あまり希望するコースが多くありません。

そこに、New Universitiesを除くという条件を加えると、ほぼ選択肢はありません。

さらにコースの研究分野に注目すると、希望するコースは1つしかなく、それが自ずと第一希望となりました。

そのコースは、所属していたファウンデーションコースから進学した学生が過去10年以上いなく、進学相談員に無謀な挑戦と言われました。

結果として競争の特に激しいコースを5つ選んだため、進学相談員に保険として合格しやすいコース(Sonthéの希望するコースの場合は、New Universities)を選んだらどうかと言われました。

しかし、もし出願して合格しても選ぶつもりは毛頭なかったため、入学要件が高いのを承知で出願先を変更しませんでした。

正直不安ではありましたが、ファウンデーションコースで好成績を収めることができれば問題ないので、必死に勉強しました。

 

また、図書館の質という面で、University of London (ロンドン大学)のカレッジを選びました。ロンドン大学のカレッジ生はロンドン中心地、Bloomsbury地区にある大学連合本部のSenate House Libraryや他のカレッジの図書館を利用できるため、そういった面でのメリットは多いです。

他のカレッジの図書館の利用には制限がありますが、それでも非常に役に立ちます。Better than nothingです。

 

実はロンドン大学のカレッジの一つでファウンデーションコースを履修したため、すでに上記の図書館の恩恵を受けていました。

また、他のロンドン大学のカレッジの図書館にも訪れ、下見も兼ねて情報収集もでき、ロンドン大学のカレッジ以外を選択するという選択肢はありませんでした。

 

コースの選択において、UCASのウェブサイトの情報は非常に役に立ちます。

また、以下のサイトも見やすく情報がまとまっており、参考にしました。

http://university.which.co.uk

 

結果として出願した5つのコース全てに条件付き合格し、希望する2コース(2大学)をUCAS上で選択してファウンデーションコースを終えました。

その他の3つの条件付き合格はその時点で放棄したことになります。

後に条件を満たせなく、選択した2つのコースの両方に不合格となった場合は、定員に余裕のあるコースに再出願する救済制度があります。

7月下旬にファウンデーションコースの総合成績が両大学へ送られ、8月上旬に第一希望のコースの合格が決まりました。

第一希望のコースが求める条件を満たすと、自動的にそちらの合格が決まり、第二希望は選択できません。

あくまでも第二希望は、第一希望に不合格が確定となった場合にのみ合否の判断が下されます。

 

ファウンデーションコースの1年で全てを終わらせたため、忙しくストレスの多い期間でしたが、今となってはいい経験です。

One thought on “英国の大学の選び方

  1. Pingback: ロンドン大学とは | Salon de thé

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