どんな物事にも共通しているのは利点があれば欠点もあるということ。
「英国の大学で学ぶ利点」の続きです。
以前の記事では、英国の大学で学ぶと打たれ強くなる、大学名を言うだけで高評価を得られる、世界が広がるの3つの利点を挙げましたが、今回は欠点に焦点を当てます。
・学費が高額
留学生(International students)は英国・EUの学生(Home students)と比較すると非常に高額な授業料を支払います。
大学の貴重な収入源となるので、年々値上げされていくでしょう。
年間£10,000を切る大学学部コースもありますが、ファウンデーションコースから大学学部卒業まで最短で4年かかることを考慮すると、£40,000の学費が必要です。
大まかに£1 = ¥150で計算すると、年間150万円、4年間で600万円です。
日本の平均的な4年生私立大学の学費より高いですが、学費だけで見ると支援の条件が上手く揃えば不可能ではない額にも思えます。
学費が£20,000となると、4年間で£80,000となり、日本円で1,200万円なので、よほど所得が多いか貯蓄から学費を払えないと難しいかもしれません。
ただし、大学進学には学費だけでなく生活費はもちろん、留学生は航空券代、保険代、学生ビザ申請費用も考慮に入れる必要があります。
学業とアルバイトを両立しながら、なんとかギリギリの学生生活を英国で送るのはほぼ不可能でしょう。
学費や生活費は値上がりする可能性が高いですし、ビザ制度に変更がないとも限りません。
金銭的理由で大学を離れなくてはいけないということは悲劇です。
休学してどうにか貯金をして復学する方法もありますが、なるべく避けたい方法です。
留学生は生活資金として、教育機関もしくは居住地がロンドン市内の場合は月£1,265(¥189,750)、ロンドン市外の場合は月£1,015(¥152,250)必要です。
9ヶ月以上の留学の場合は9ヶ月分の資金証明が必要となるため、ロンドン市内の場合は£11,385(¥1,707,750)、ロンドン市外の場合は£9,135(¥1,370,250)を1ヶ月間継続して預金しなくてはいけません。
3年間の大学学部進学のため学生ビザを申請する場合、ビザの期間は3年間と4ヶ月ですが、資金証明は9ヶ月分で足ります。
しかし、留学生は毎年のコース開始前に学費を全額支払う必要があるので、例えばロンドン市内の大学学部に進学した場合、学費が£15,000(225万円)、生活費として資金証明に£11,385(170万円)を用意すると、合計395万円が必要となります。
ビザ申請費用は£348(¥52,200)ですが、Immigration Health Surcharge(IHS)が学生は年間£300(¥45,000)、3年間の大学学部進学の場合は3年間と4ヶ月分の費用を支払うため、4ヶ月分は半額の£150(¥22,500)が請求されます。
よって、IHSは£1,050(¥157,500)です。
ビザ申請費用とIHSの合計は£1,398(¥209,700)です。
上記のシミュレーションによる学費、生活費、ビザ申請費用、IHSの合計は416万円です。
他に航空券代、保険代がかかってくるので、この額を用意できる留学生(もしくはその家族)が「なんとか」英国の大学学部に進学できるという経済状況でないことは明白です。
上位校と言われている大学への進学は非常に狭き門なので、学費が高い、世間的に「いい」と言われている学校に通った学生が多い傾向にあります。
出身家庭の生活水準が高いことが多いため、勉強以外の重要な交友関係において制限が出てくることもあるかもしれません。
英国の大学学部で学ぶことが目標という明確な意思のある留学生は問題ないでしょうが、実際に英国の大学を卒業した身として言えますが、大学生活は勉強だけではありませんので、バランスは重要です。
・学生ビザ問題
学生ビザの申請費用は年々値上がりしています。
そして、先行き不透明ではありますが、現状英国の就労ビザに切り替えられる留学生は限られています。
学生のうちから経験を積み、技能ある労働者(Skilled worker)にならないと一般的な労働ビザのルートは途絶えてしまいます。
もしくは他のビザを狙う方法もありますが、大学在学中から行動しないといけないのは変わりありません。
Sonthéの周りでも、Youth Mobility Schemeの制度を利用して卒業後も英国に残ろうとした留学生がいました。
せっかく英国の大学を卒業してもその後の可能性を英国内で挑戦できない現行制度は夢がありません。
9歳もしくは11歳から継続して留学して、英国の滞在日数に常に注意し、10年ルートで永住権を狙うか、13歳から留学して大学学部卒業後、大学院で2年過ごす(2つの修士課程を修了するか、2年間の修士課程を選ぶ)、または博士課程に進むと学生の身分で英国に10年以上滞在できるので永住権が狙えます。
10年ルートがこれから先もずっと続くかは分かりませんし、ギャップイヤーや交換留学で1年間を英国外で過ごすことも英国滞在歴に空白ができてしまうため難しいでしょう。
永住権を取りたいだけなら、他の方法を狙った方が容易でしょう。
・学部が3年間であることが問題になることもある
留学生が自国に帰らなくてはいけないということを考慮に入れると、日本と英国の教育制度の違いは無視できません。
「海外の4年生大学を卒業」という条件が就職・進学に課せられる場合もあります。
イングランド、ウェールズ、北アイルランドは通常3年間の大学学部ですので、例えば日本出身の留学生が英国の大学学部を卒業した場合、日本での就職・進学に影響する可能性も考慮に入れる必要があります。
気になる場合は、4年制のコースを選択するか、通常4年生の大学学部課程のスコットランドに行きましょう。
もしくは日本での就職先に外資系や「国際的」な企業を狙いましょう。
例えば、楽天は国内外の大学卒業であれば問題ないようです。
・9月始まりなので日本からの進学、日本での就職がしにくいかもしれない
英国は9月に新年度がはじまるので日本の高等学校を3月に卒業すると半年間の空白が生まれます。
その間にアルバイトやボランティア等の経験を積むこともできますが、卒業が夏になるので、4月就職には間に合いません。
英国の大学生は3-4月は試験前で非常に忙しいです。
・日本語での大学レベルの高度な思想ができるようにはならない
最後に、英国の大学で学ぶということは、言語専攻を除き、英語で学ぶため、日本語が疎かになるかもしれません。
日本語での大学レベルの思想やエッセイ・論文の読み書きは英国の大学には不要な要素ですので、自主的に日本語に触れていないといけません。
よほど英語がネイティブレベルまでにならないと、結局2言語とも中途半端になってしまいます。
日本で暮らすのに日本語が話せないのは致命的です。
よくあるのは、親のエゴで幼少期から英語漬けにさせて日本語が疎かになり、日本では生きづらいから海外に行き、そこでもまともに相手にされなくて結局日本に戻るしかない失敗例です。
海外では出身のアイデンティティーを誇りに思い方が非常に多く、日本出身なのに日本を知らないと、あえて低俗な言葉を選ぶと、「バカ」に思われます。
アメリカ合衆国だろうが英国だろうが南アフリカだろうが、どこでもいいですが、「英語圏出身もどき」の自国のことを知らない日本人なんて需要がありません。
英国の大学を卒業すれば英語が話せるようになるというのは幻想です。
なぜなら大学は英語学校ではないからです。
語学学校に通った方が英語は上達するでしょう。
結局、利点と欠点の両方を把握して進学先を決定するのがいいでしょう。
どこに行っても結果として満足できる方と、どこに行っても不満しか言わない方に分かれるのは英国の大学進学に限った話ではありません。

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